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変異株の話

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今回は、新型コロナウイルスの変異株のうち代表的な3つの株についてわかっていることをまとめてみました。 まず、名称のVOCというのは v ariant o f c oncernの略で「注視すべき変異株」という意味で、その他2株は変異の部位とアミノ酸を示した名称になっています。 わかりにくいので、 ・VOCー202012/01  → 英国株 ・501Y.V2      → 南アフリカ株 ・501Y.V3      → ブラジル株 としてお話します。 まずはヒトへの感染のしやすさ(感染性)についてです。 いずれの変異株も感染性が増すと考えられています。 これは宿主(ヒト)の受容体に結合するスパイクタンパクをコードする遺伝子に変異を含んでいるためです。スパイクタンパクは宿主の受容体に結合する部分なので、より宿主に侵入しやすい変異株が増殖し広がると考えると当然のことと言えます。 次に重症度です。 これについてはまだ十分なデータがありません。 しかし英国株については死亡リスクの増大と関連する可能性が示唆されています。今後さらなる研究結果報告が待たれます。 再感染については、 英国株は野生株(元々の新型コロナウイルス)と交叉中和能があると言われています。 つまり、新型コロナウイルスにすでに罹患して抗体を有する場合には英国株にかかりにくくなる可能性があります。ただ他の2株については野生株に対する抗体から逃れる変異を有するとされており、すでに罹患した場合でも南アフリカ株・ブラジル株にはかかる可能性があるということになります。 では今後接種が予定されているワクチンの変異株に対する効果はどうなるのでしょう? 2月下旬の接種開始に向けて準備中のファイザー社のワクチンは、英国株に対しては「効果に影響がない」、つまり実験上では効果があると報告されています。ただし南アフリカ株に対してはファイザー社、モデルナ社ともに若干効果が落ちる可能性があるとされていますが、実際のところは不明です。ブラジル株は有効性に関する報告がまだありません。  感染・伝播性の増加や抗原性の変化が懸念される 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の新規変異株について  国立感染症研究所ホームページより一部改変 変異株に関してもまだ解明されていないことが多く、新しい情報が入り次第皆様にお伝えしていきたいと思います。