コロナ禍で迎える2020-2021インフルエンザシーズン

 

いまだ新型コロナウイルス感染の拡大を認め、今冬どういった状況になるのか予測が難しいところです。
南半球ではインフルエンザの発生が少なかったという報告がある一方で、東南アジアでは A型(H3N2)の発生が最近増えているという報告もあります。また、南半球でのインフルエンザ発生の少なさがウイルスの干渉(一方のウイルスが他方のウイルスの増殖を抑える)によるものだとする確固たる根拠はありません。

インフルエンザウイルスが流行しないことを願うばかりですが、新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスの同時流行に対応できる体制は整備しておかなければなりません。

CDCをはじめ日本感染症学会からも今冬のインフルエンザとCOVID-19に備えて提言が出されています。基本的には、同時流行時には新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスを症状のみで判断することは困難なので、それぞれの流行レベルに応じて検査の適応を検討することになります。

治療については、新型コロナウイルス感染症を外来で抗ウイルス薬などで治療することは想定されていないので、今冬の発熱患者の治療の主体はインフルエンザとなります。インフルエンザ迅速検査が陽性となった場合や、合併症のリスクの高い小児や高齢者では迅速検査なしでも症状や経過からインフルエンザと診断し、抗インフルエンザ薬を投与することが推奨されています。抗インフルエンザ薬は発症後2日以内の早期に投与することで効果が得られます。

2020-2021インフルエンザシーズンの流行状況や各種検査の不確実性を考えると、確立されたインフルエンザの予防と管理(インフルエンザワクチンと抗インフルエンザ薬)と基本的感染対策(手洗い、マスク着用、密を避ける)を行っていくことが備えの第一歩となります。

なお、実際の診療はあくまで「地域の流行状況」に加え「各施設の検査体制」及び「医師の判断」に基づいて行われますので、必ず上記通りの検査や治療を行うといったものではないことをご理解ください。

参考文献)⼀般社団法⼈⽇本感染症学会提⾔ 今冬のインフルエンザと COVID-19 に備えて
JAMA. Published online November 2, 2020. doi:10.1001/jama.2020.21849 
https://www.cdc.gov/flu/professionals/diagnosis/index.htm


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