おとなのかぜの治療


今回はおとなのかぜの治療についてまとめたレビューを紹介します。

有効な治療法として挙げられているのは以下の通りです。

抗ヒスタミン薬と充血除去薬を含む市販薬
せきを減らし、鼻からの呼吸を楽にさせる場合があります。総合感冒薬にはdl-メチルエフェドリン塩酸塩やクロラムフェニコルといった成分が含まれていることがありますが、これらがいわゆる充血除去薬と抗ヒスタミン薬です。ただし子どもでの有効性ははっきりしておらず、むしろ眠気が強くでたという報告もあります。また総合感冒薬の成分によっては尿が出にくくなるなどの副作用が見られる場合がありますので、特にご高齢の方は注意が必要です。

イブプロフェン
これも総合感冒薬に含まれていることが多い解熱鎮痛薬です。熱や頭痛、体の痛みがある場合に有効です。

アセトアミノフェン
イブプロフェンと同じく解熱鎮痛薬の一種で、一時的に鼻水や鼻づまりを軽減させる可能性があります。

鼻うっ血除去薬スプレー(いわゆる点鼻薬)
鼻からの呼吸をしやすくするのに役立ちます。ただし鼻づまりを悪化させる可能性があるので3日以上は使用しないでください。

亜鉛トローチ
かぜを早く治すのに役立ち、症状を軽減させる可能性があります。特にかぜの引き始め24時間以内に服用した場合、かぜの期間を1日短縮させるとの報告もあります。ただし適切な量や期間は明確になっておらず、大量の亜鉛は有毒で、銅の欠乏や貧血、神経系の異常を引き起こす可能性あります。また亜鉛にははきけなど胃腸症状の副作用もあります。

ビタミン C 
毎日摂取しても病気になるのを防ぐことはできませんが、かぜを早く治すのに役立つ可能性があります。すでにかぜの症状が出てから服用し始めても効果はありません。

Am Fam Physician. 2019 Sep 1;100(5):online.

以上いかがでしたでしょうか。最近の解析では亜鉛の有効性は立証されておらず、かぜの特効薬と言える治療法はありません。亜鉛やビタミンを含むバランスの良い食事を心がけ、マスク着用、手洗いなど日頃から感染対策を怠らないことが何よりも大切ですね。


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