新型コロナウイルスワクチンについて

 

12月になり寒さが日ごと増す中、みなさまはいかがお過ごしでしょうか?

10月、11月と多くの方にインフルエンザワクチンを接種していただきました。現在は在庫ぎれの状況ですが週明けには少し入荷の予定がございます。まだ接種されていない方は早めにお問い合わせ下さい。

今回は新型コロナウイルスについて現在までにわかっていることをお話しします。

日本への供給の契約または合意が公表されているワクチンは、英国のオックスフォード大学とアストラゼネカ社が開発したワクチン、米国のファイザー社とドイツのビオンテック社が開発したワクチン、米国のモデルナ社とNIHが共同開発したワクチン、の3つです。

アストラゼネカ社のワクチンは、まず半用量を接種して、1ヶ月後に全用量を接種すると有効性が最大90%になる可能性があります。ただし1ヶ月間隔で全用量を投与すると有効性は62%に低下するため、半量+全量のレジメで接種されるのではと言われています。他のワクチンと比べると低価格(1回の投与量あたり約3ポンド)で冷蔵庫(2-8℃)での保存が可能です。

ファイザー社のワクチンは、臨床試験での予防効果は95%と報告されており、英国では来週にも接種開始が予定されています。ワクチンは-70℃で保管する必要があるため、ドライアイスで輸送するなど流通方法が懸念事項です。ワクチンは基本的に2回接種で、1回あたり約15ポンドと予想されています。

モデルナ社のワクチンは、臨床試験での予防効果は中間報告で94.5%(最終報告では94.1%)とされています。1ヶ月あけての2回接種で、初回接種から約3ヶ月経過した時点でも高い抗体価が維持されることが報告されています。家庭用冷蔵庫に30日間、室温で最大12時間、-20℃で最大6ヶ月間保管できます。ただし他のワクチンに比べると1回接種あたり約25ポンドと高価です。

ちなみに、ワクチンの予防効果とは、ワクチンを接種しなかった群に比べてワクチンを接種した群でどれだけ感染を防ぐことができたかを意味します。たとえば未接種群200名のうち80名が発病したのに対して接種群200名では8名が発病した場合、ワクチンの予防効果(有効率)は90%ということになります。
インフルエンザワクチンの予防効果は、6歳未満では約60%、65歳以上の高齢者福祉施設に入所している高齢者については34%〜55%と報告されていますので、現在開発されている新型コロナウイルスワクチンの予防効果が高いことがわかります。

日本では具体的な接種開始時期や接種回数、費用(公費負担検討中)を含め詳細は未確定ですが、1日でも早くワクチンが皆様のもとに届けられることを願うばかりです。

今後も新型コロナウイルスの安全性や長期的な有効性に関する新しい情報が海外から報告されてくると思いますので、随時お伝えしていきたいと思います。

BMJ 2020371 doi: https://doi.org/10.1136/bmj.m4714 (Published 02 December 2020)
NEJM December 3, 2020 DOI: 10.1056/NEJMc2032195
厚生労働省 令和2年度インフルエンザQ&A、新型コロナウイルス感染症のワクチンについて







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