新型コロナウイルスmRNAワクチン Q&A①

海外では新型コロナウイルスワクチン接種がすでに開始され、日本でもワクチン接種の準備が進められています。医療従事者は来月から、その後高齢の方や基礎疾患のある方、そして一般の方へと段階的に接種するスケジュールが想定されています。
ワクチンへの盲目的な信頼や過剰な期待、逆に過剰な恐れや不信感をもつことなく、客観的に評価するための正確な情報をみなさまにお伝えできればと思っております。

今回は現時点ではわかっていることをQ&A形式でまとめました。

QmRNAとはなんですか?
AmRNAはメッセンジャーRNAの略で、タンパク質を作るための設計図です。

Q. mRNAワクチンはどのようにして効果を示しますか?
A. COVID-19 mRNAワクチンは、コロナウイルスタンパク質の1つ、特にスパイクタンパク質の設計図を含むmRNAを誘導することにより、タンパク質を作成する細胞の過程を巧みに利用します。これはコロナウイルスを私たちの細胞に付着させるタンパク質です。スパイクタンパク質に対する抗体を作ることによってウイルスと細胞の接着を防ぐことができれば、私たちはコロナウイルスが細胞に感染するのを防ぐことができます。
SARS-CoV-2スパイクタンパク質をコードするmRNAは、樹状細胞と呼ばれる免疫系の特殊な細胞に取り込まれます。樹状細胞はスパイクタンパク質の小片を表面に提示し、近くのリンパ節に移動し、抗体を作るための他の免疫系細胞(B細胞)を刺激します。これがmRNAワクチンを接種した一部の人において接種した腕のリンパ節が腫れる理由です。この過程で作られた抗体が将来のウイルス細胞の付着を防ぎます。
mRNAワクチンによる一連の免疫応答に生きたウイルスは関与せず、遺伝物質は細胞の核には入りません。

 

Q.mRNAワクチンは効果的ですか?
A.ファイザー/バイオンテックとモデルナの2社がmRNAワクチンを製造しています。両ワクチンは、COVID-19の予防に対して約95%効果的であることが臨床試験で報告されています。(12/5のブログ参照)
ワクチンは2020年の夏からしかテストされていないため、どのくらい効果が持続するかに関する情報はありません。モデルナワクチンの第1相試験のデータは中和抗体がか月近く持続することを示唆しています。 ただしこの抗体の力価は時間とともにわずかに低下します。

 

Q. COVID-19 mRNAワクチンは何回接種する必要がありますか?
A. mRNA
ワクチンは2回の接種が必要です。ファイザー/バイオンテックのワクチンは21日間隔、モデルナのワクチンは28日間隔で接種する必要があります。2つのmRNAワクチンには互換性がありません。1回目と2回目の投与の間に推奨時間間隔を超えてしまった場合でも、接種回数を初めから再開する必要はなく、中断されたところから再開できます。

 

Q. mRNAワクチンは安全ですか?
A.
両方のmRNAワクチンは非常に安全と言われていますが、100%安全なワクチンはありません。これは100%安全な薬がないのと同様です。
両方のmRNAワクチンはmRNAによって生成されたSARS-CoV-2スパイクタンパク質に対する免疫応答の結果として副作用を引き起こします。副作用は2回目接種後に頻繁に発生し、55歳未満の人によく見られます。ある意味、免疫反応が活発であればあるほど副作用はより一般的になります。
最も一般的な副作用は、特に投与後1224時間の注射部位の痛みです。倦怠感と頭痛は他の比較的一般的な副作用です。高熱はあまり一般的ではありません。これらの副作用は通常、数日以内に解消し、アセトアミノフェンまたはイブプロフェンなどの解熱鎮痛剤が有効です。
英国と米国で最初のワクチン接種直後に重度のアレルギー反応(アナフィラキシー)の報告が出ました。これらの反応を引き起こす主要な原因物質は、両方のワクチンに含まれるポリエチレングリコールという化合物だと考えられています。現在の推定では、アナフィラキシーは100,000回に1回の投与で発生します。この重度のアレルギー反応の割合は他のワクチンよりも高いですが、ペニシリンで報告されている割合(5000分の1と推定)よりも大幅に低くなっています。
重度の反応は通常、投与後数日または数週間以内に発生します。ワクチンによる長期的な副作用は幸いにも非常にまれであり、長期的な安全性については今後明らかにされていくでしょう。

 

Q.COVID-19の予防接種を受けた後であっても、ウイルスを拡散する可能性はありますか?
A.COVID-19に対するmRNAワクチンは、疾病予防に非常に効果的であることが示されていますが、症状を伴わない感染(不顕性感染)を予防できるかどうかを判断するに十分な情報はまだありません。要するに、予防接種を受けた人が症状がなくても感染した場合、ウイルスを広める可能性があるということです。これに関する調査結果がまもなく報告される見通しですが、この不確実性を考えると、予防接種を受けた人々は依然としてマスクを使用し、密を避け、手洗いなどの基本的感染対策を実践する必要があります。

 

QmRNAワクチンのうちどちらを接種した方が良いですか?
A.ファイザー/バイオンテックワクチンは16歳以上、モデルナワクチンは18歳以上で認可されています。この年齢差を除けば、両方のワクチンの試験での有効性と安全性の結果に差はほとんどありません。供給が限られているため、入手可能なワクチンを接種せざるを得ません。ワクチン接種が開始されたら、推奨されるスケジュールで同じワクチンを使用して完了する必要があります。最初の投与に1つのワクチンを使用し、2回目の投与に別のワクチンを使用することに関する安全性または有効性のデータはありません。


以上、ワクチンQ&Aの第一弾をお送りしました。これだけ読んで打った方がよいのか判断できるとは思いません。また、変異種への効果や長期的な効果および安全性についてはまだまだわかっていないことがあります。これらにつきましても情報が入り次第ご報告していきたいと思います。

参考)
・Children's Hospital of Philadelphiaホームページ
・The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE  Covid-19 Vaccine Resource Center

 

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